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組織の内面を見るということ

2021.6.30(水)
人材育成コンサルタント 上芝美恵

はじめに

私がコンサルで介護現場や医療現場に入る際、事前にスタッフに対してアンケートを取ることが多くあります。
いわゆる「モラルサーベイ(従業員意識調査)」というものです。「業務や仕組みに関して」「個人の満足感に関して」「家族及び家庭に関して」「自分自身に関して」以上の指標と自由記載があります。(匿名で記入)モラルサーベイで組織の課題、個人のキャリアパス、人間関係、ストレスなどが分かります。その結果をもとに、組織の課題を解決するご支援内容を打ち合わせしていきます。
アンケートに回答する男性の手元
赤裸々な内容になるので、ほとんどの経営者は目を覆いたくなるようですが、スタッフの本音が聞けるチャンスと捉え、前向きに受け止めていく経営者がほとんどです。(中には激怒する経営者も見受けられますが(笑))
組織の課題の本質はそう簡単に出てくるものではありません。経営陣が想定する課題とスタッフが考えている課題は、立場も価値観も違うのでイコールでないことがほとんどです。その課題を擦り合わせていくことが組織を強くするポイントです。

本質的な課題とは?

具体的にどんな課題が見えてくるかをご紹介します。現在、ちょうどモラルサーベイを実施したクライアント様がいらっしゃったので例を挙げます。
とある介護事業者様で実施しました。スタッフは全施設で150名弱。
こちらの介護事業者様の一番の課題は、スタッフがリーダー不在と思っていること。もちろん実際は役職として施設長や主任は実在します。ですが、スタッフがそれを認識というかリーダーをリーダーと認めていないことが多いことが一番の課題でした。リーダーがリーダーとして役割を認識し役割責任を果たしていないことで、組織はいびつな組織となっていました。
組織のピラミッド
規律は守られていらず、マニュアルなどもないのでスタッフは勝手に動きます。それによって時間や物資の無駄も多く、自分勝手なことをスタッフは言い出します。
経営陣は、直接スタッフとやり取りを行い経営陣の業務負担は計り知れないものになっています。また、経営陣のトップとナンバー2の意見がかみ合わず、スタッフが振り回されている現実や、トップ経営者のワンマン振りも見え隠れしました。会社を創設したのは経営者ですが、会社というものは経営者だけのものではありません。
スタッフ個人の評価を実施してもフィードバックがないので、何のための評価なのか不満や不安もありました。
休みや給料が少ないとか、誰かが誰かの悪口を言っているとか、経営者を信用できないとか、匿名でモラルサーベイを実施するのでスタッフは言いたい放題です。
もちろん、スタッフの一方的な意見を全て課題とするわけではありません。
ですが、そんな罵詈雑言が混ざっている中にも本質的な課題が見えてきます。
・指示を出す人がいないのでそれぞれ勝手な仕事の仕方をしている
・協調性がない(それぞれが言いたいことを言う)
・会社の方針が分からない
などなど。
体の調子が悪い時、私たちはどこに痛みがあるのか?どこが悪いのか?と考え適切な診療科目に行きます。
それと同じで、組織が上手く回っていないと思う時、そこにどんな課題があるのか?顕在的な課題、潜在的な課題は何か?経営者側からの課題、従業員側からの課題にどんな違いはあるのか?そういった様々な視点から課題を抽出し解決していくことが重要だと思っています。
立場によって見える景色は全く違うように、見えている課題も全く違います。課題の本質に触れてみることも経営には必須なことかもしれません。
機会があれば、恐る恐るスタッフの本音に目を向けてみませんか?
上芝美恵(Mie Ueshiba)
人材育成コンサルタント
医療介護を専門にリーダー育成、接遇改善、離職防止など
組織と個人にアプローチした課題解決型のコンサルティングを展開。
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