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離職防止のためにできること

2021.2.24(水)
人材育成コンサルタント 上芝美恵

はじめに

『従業員の定着』に頭を悩ましている介護施設は多いのではないでしょうか?
「どうすれば優秀な良いスタッフが辞めずに長年働いてくれるのだろうか?」という悩みは尽きないと思います。
退職届と書く手元
実は介護人材の離職率は他業種と比べ著しく高い数値ではありません。全業種の離職率は14.6%。生活関連サービス業や飲食宿泊サービス業は20%を超えています。 令和元年の介護人材離職率は15.4%(公益財団法人介護労働安定センター調査)。 全産業には上回っていますが、他のサービス業と比べると離職率が低いことが分かります。
今後、介護人材不足はより一層深刻になっていきます。 2018年に経済産業省より「2035年には約79万人もの介護人材が不足する」と試算された数値が発表されました。背景には、労働力人口の減少と超高齢化社会があります。 ちなみに2015年は4万人の人材不足でしたので、実に20倍の人材不足となります。
そこで、今のうちに出来ることは何かを考えていきましょう。 一番の課題は、入職して間もないスタッフの定着率の悪さではないかと思います。 離職者の約4割が入職1年未満で離職し、勤続3年未満の離職者を合計すると約6割強を占めています。

離職原因(出典:公益財団法人介護労働安定センター)

退職原因の集計結果
上記の図を見ると男女共通として高いのは「職場の人間関係」と「法人の理念や在り方」 男女別で見ると男性は「自分の将来に見込みが立たなかった」女性は「結婚・妊娠・出産・育児のため」とあります。
この結果を見ると、優秀な職員を定着させ離職防止のために何をすればいいのか?が見えてきます。
一言で言うと「いかに職場環境を良くするか」に尽きます。

離職防止のために何ができるか

離職率の高いとある介護事業経営者と対談する機会がありました。その際に「職場環境を良くするために何をすればいいですか?」と質問を頂きました。職場環境を良くするための施策は沢山あります。その一例を挙げてみたいと思います。
1)業務改善を行う
  業務改善委員会などプロジェクトチームを発足させ、様々な業務改善にあたる。
  例・ICTを導入し業務効率を上げる。※1
   ・業務の中で不都合がないかスタッフにアンケートをとり出来ることから改善する
2)職場内コミュニケーションを円滑にする
  例・サンキューカードを導入する※2
   ・施設内研修
   ・隙間時間での頻度の高いミーティング
   ・スタッフとの対話(質より量)
   ・新人職員にメンターをつける(シフトがあるので数人が良い)
3)従業員エンゲージメント向上を目指す※3
  例・人事制度を導入する(昇格や昇給などの制度を明確にする)
   ・会社理念、会社目標の共有
   ・キャリアパスの明確化※4
   ・シフトの融通や有休取得のしやすさなど勤務しやすい制度作り
上記のような施策を実施し、職場環境が良くなったことで入職1年以内の離職率50%超えだった施設が10%まで離職率が下がった事例があります。入職間もない職員が働きやすい職場は、当然のことながら古参のスタッフも働きやすい職場となります。
上記の例で挙げた施策の実現は経営者一人で行われたわけではなく、有能なリーダーの存在が大きく関わってきます。 形だけのリーダーではなく本質的なリーダーが不在の施設が多い中、リーダーの育成も必須となってきます。 離職防止策を投じれば、組織は必ず強くなります。そうすれば、遠くない未来も生き残っていく介護施設となっていくでしょう。

注釈

※1 ICT・・・インフォメーション・アンド・コミュニケーション・テクノロジーの略。ITを使っていかに人々の暮らしや仕事を豊かにするか。ということ。
※2 サンキューカード・・・スタッフ同士で感謝の気持ちを伝え合う際に用いられるカードのこと。手書きのカードを渡して仲間を褒めたり、労ったりすること。
※3 エンゲージメント・・・従業員の愛社精神や企業に対する愛着を表し、会社貢献度意欲を引き出すもの。エンゲージメントが高い組織は業績向上にも関連する。
※4 キャリアパス・・・目標とする職位や職務に向かって、必要なステップを踏んでいくための順序や道筋のこと。どのような経験や経歴を持てば、目標の職位や職務を目指せるのか。といったこと。
上芝美恵(Mie Ueshiba)
人材育成コンサルタント
医療介護を専門にリーダー育成、接遇改善、離職防止など
組織と個人にアプローチした課題解決型のコンサルティングを展開。
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